2017/09/09
「はじめての!あかねとジョーキョーパズル」振り返り

今年の4月からノベルゲームエンジン「ティラノスクリプト」に関わっていた縁もあって、
エンジン開発者の方が主催する「ティラノゲームフェス2017」に記念参加しようと思い立ち、
「はじめての!あかねとジョーキョーパズル」というゲームを作りました。
この記事は、それの制作秘話というほどでもないですが、振り返りのようなものです。
ジャンルについて
ジャンルは推理アドベンチャーゲームです。
ノベルゲームという感じでは……ないですね。
もともと"がっつり読み物系"のゲームを作るつもりはなくて、
それはなんでかというと、わたしは小説を書く人間ではなく、読むほうも全然なので、
まあ、無理だろうと思ったのです。
それで、15分くらいで解ける謎解きを主題にしたアドベンチャーゲームなら作れると思い、
ちょうどいい題材はないかなと考えたところシチュエーションパズルに思い至り、
ああこれだ、という感じで構想ができ始めました。
タイトルについて
ゲームのタイトルは「はじめての!あかねとジョーキョーパズル」です。
「ジョーキョーパズル」とは「状況パズル」、
つまり「シチュエーションパズル」を意味しています。
今作はシチュエーションパズルを題材にしたゲームですから、
タイトルにもその要素を入れよう! と思って検討した結果こうなりました。
ちなみにシチュエーションパズルというゲームには、この他にも様々な呼び名があるようです。
たとえば「水平思考パズル」「水平思考ゲーム」「イエス・ノーパズル」等、あるいは
「ウミガメのスープ」という有名な問題そのものがゲーム名として定着してもいます。
さて、実はタイトルを「ジョーキョーパズル」に決めたのはかなり後のことで、
当初のタイトルは「はじめての!あかねと水平思考」でした。
コンセプトは同じです。
まずシチュエーションパズルの要素を入れようということで「水平思考」、
「初めてでも大丈夫」というような意味合いで「はじめての」、
楽し気な雰囲気が出るかな、と思って、びっくりマーク「!」、
あの可愛いあかねちゃんと遊べるぞということで「あかねと」、
これを全部つなげて「はじめての!あかねと水平思考」というふうにしていたんですね。
当時のロゴも残っていて、見ると「ラノベPOP」というフリーフォントを使っています。

しかし作っているうちに「『水平思考』はなんかごつごつしてるなあ」という感じを覚え始め、
「水平思考」の部分をもっとポップなものに差し替えることを検討しました。
とはいえ「ウミガメのスープ」とか「シチュエーションパズル」とかだと長すぎるように思え、
他にはないか、と考えていたところ、「シチュエーション」を「状況」と訳して
「ジョーキョーパズル」とすればなんかリズム良さげだぞと思い、これに決めました。
(最終的な判断基準はリズムでした。)
これはわたしの造語であり、TwitterやGoogleで検索をかけても完全一致ではヒットしません。
ですから初見だと必ず「なにそれ」となる、認識性が非常に悪いという欠点があります。
シチュエーションパズルを知っている人ですら何なのかわからないと思います…。
その反面、利点も一応あります。
というのは、本家のシチュエーションパズルと少々違うゲームの進め方をしても、
「これはジョーキョーパズルだから」という言い訳が利くという点があって、
これは作り手としては都合が良いと感じました。
ロゴについて
タイトルが「ジョーキョーパズル」になったことでもうひとつ良いことがあって、それはなにかというと、タイトルがひらがなとカタカナだけになったことによって
ロゴに使うフォントをたくさん選べるようになった、というのがあります。
漢字が使えるフリーフォントは少ない一方で、
ひらがなフォントやカタカナフォントはかなりの数が出ていますからね。
それで、ブックオフで500円くらいで買ったフリーフォント一覧みたいな本をぱらぱら眺めて、
「はじめての!」の部分にはひらがなフォント「Shear15_H」を、
「ジョーキョーパズル」の部分にはカタカナフォント「GauFontKusanagi」を、
それぞれ使うことにしました。
「GauFontKusanagi」によく似たひらがなフォントがあれば
それを「あかねと」に使いたかったのですが、
その本には載っていなくて、ネットで検索するのもちょっと面倒だったので、
「あかねと」の部分は自作することにしました。
(「あ」「か」「ね」は割と気に入っているのですが、「と」だけ微妙…)
それプラス、何かグラフィカルなものがあったほうが目を引くだろう、
パズルといったらジグゾーパズルかルービックキューブだろうな、ということで、
ルービックキューブのイラストを加えました。
さらにタイトルロゴでよくある、
タイトルの英訳をちょこちょこっと加えるというのも考えましたが、
英語にさっぱり自信がないのでやめておきました。
パズルについて(問題編)
パズルの問題文については、大まかなテーマはかなり早くに決まりました。「男は女にマフラーを褒められると、マフラーを捨てた。いったいなぜ?」ですね。
しかしその真相については、実際に採用したものも含めて3種類考えていました。
採用した他にも2種類あったということですね。
ただその2種類のどちらにもちょっとした事情があり……
人によっては著しく納得度が低いかなと思って、採用を見送りました。
さて、結果的には、採用した真相が一番シチュエーションパズルっぽいというか、
本家「ウミガメのスープ」に比較的似た傾向の問題になってよかったなと思います。
ただし、問題文ではもともと「なぜマフラーを捨てたのか?」という問いなのに、
いきなり「捨てたのは衝動によるもので、理性的な行動ではない」ということが明らかになり、
解き明かすべき内容は「その衝動が何か」に変わってしまう……というのは、
人によってはビミョーな感じを受けるかもしれません。そこは懸念しています。
ただその部分についても、本家「ウミガメのスープ」と少し似ているなと思っています。
パズルについて(質問編)
質問の仕方は2種類あります。問題文をクリックするタイプと、問題文にないことについて質問を選んで行うタイプです。
後者についてはまあこんなもんかなという感じで、前者については改善の余地ありです。
前者は必要なクリック数がとにかく多いという点と、
質問できる組み合わせがわかりにくいというのが
かなりの懸念事項です。
パズルについて(解答編)
シチュエーションパズルの解答は、質問とまったく同じ形式で、
「真相はこれこれこういうことですか?」「イエス!(ノー!)」という形で行うのですが、
ゲームでそれを再現するのは無理だと判断しました。
で、どうしようかなということで、
当初は二大推理アドベンチャーゲームシリーズにならって
「間違ったことを言う役を用意し、それに対してプレイヤーがツッコむ」
という形式にしようと思っていました。
……結局その形式にはなっていませんが、その名残はあります。
それはどこかというと、やまとが自分の推理を披露するところですね。
もともとはあれに「ここが違う」「ここも違うぞ」とツッコんでいく形式を考えていました。
ただ、そういうシステムを作るのがちょっと面倒に感じて、
結局「あかねがひとつひとつ謎を聞いていくので、プレイヤーがそれに答える」
という形式になりました。
文字入力、選択肢、特定の場所クリック、というオーソドックス(?)な方式が多いです。
これについて、「文字入力+完全一致での正誤判断」というのはちょっと危ういと思っていて、
難度が高くなってしまったり、推理の納得度合いを下げてしまったり…
というような懸念があると考えています。
しかし作り手としてはこれが一番実装が楽なのもあって、
「ひらがな〇文字で」という指定とともに、文字入力による解答を採用しました。
いまでもどうかなと思っているので、
もし似た作品を作る機会があったら採用しないかもしれません。
実際、先述した人気推理ゲーム2シリーズでは、
どちらのシリーズでも文字入力による解答はなかった気がするんですね。
やはり制作スタッフになにか考えるところがあったのでしょう。
エンディングについて
たかだか15分のゲームながら、いささか大げさなエンディング演出をしています。実はゲームを制作するなら、絶対こういう演出したいなあ、と前々から思っていて、
今回はそれを実現させた形です。
こういう演出、というのは、ひとつはエンディングの音楽が先駆けて流れ出すというのと、
もうひとつは推理パートで重要になった要素が日常に帰っても効いてくるみたいな演出です。
……あまりこういうことは言わないほうが良いような気がしますが、
音楽会の練習がどうのこうの、というのは、最初はただの言い訳だったのです。
なんの言い訳かというと、休日に主人公たちだけが教室にいることの言い訳ですね。
他のクラスメートが一切いないのに、主人公たちだけが教室にいる、
という状況を説明するために、適当に考えた言い訳がそれでした。
というかこれ(=休日に音楽会の練習で呼び出される)は、
わたしの高校時代の実体験に基づいています。
それをもとにエンディングの演出を考えていると、あのような感じになりました。
音楽について
音楽や効果音については、フリー素材を配信しておられるサイトをたくさん巡って、「おっ、これは没入感あるな」とか、「おっ、これは"考えてる"感あるな」とか、
そういう感じの曲をちまちま集めて、集めた曲はほとんど使用しました。
採用を見送ったのは2曲で、
煉獄庭園さんの「Dry Look」と、
魔王魂さんの「サイバー12」です。
どちらも大変良いなあと思ったものの、使いどころが難しくて採用を見送りました。
立ち絵について
立ち絵は、STRIKEWORKSさんが配布しているものを拝借しています。実際にイラストを描かれたのは神吉李花さんという方ですね。
また二次創作というほどではないと思いますが、
「あかね」「やまと」というキャラクターの"名前"についても、
ティラノスクリプトのサンプルゲームから拝借しています。
これについては自分の親しみもあってこういう選択をしました。
非常にかわいらしいイラストなのですが、
制作しているうえでひとつ「しまった!」という点があって、
それはなにかというと、二人とも冬服だということです。
冬服はたいてい10月から4、5月まで着るものです。
それに関連して、わたしは当初、プロローグを"夏"という前提で書いており――
まあフェスが夏なのでそれに合わせようかなくらいの心持ちだったのですが――
ふと「冬服じゃん!」ということに気が付き、慌てて設定を秋の入り口に変えました。
幸い10月にもセミが鳴くことはあるようなので、
セミの鳴き声素材は無駄にならずに済みました。
おわりに
まだバグ報告等があれば修正アップデートは行いますし、もしかしたらいずれ第2話とか作るかもしれませんが、
ひとまず制作はこれで区切りとします。
読んでくださった方、ゲームをプレイしてくださった方、Twitterで声をかけてくださった方、
その他諸々の方、ありがとうございました。
他の方のゲームも遊んでいこうと思います(´・ω・`)
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